「部下が自分に相談もせず勝手に仕事を進めてしまう」
「せっかく時間を取ってアドバイスしているのに、納得していないように見える」
「どうやら自分ではなく他の部長に相談しているようだ」
このように、何となく部下から信頼されていないように感じる、信頼関係が上手く構築できていないように思う、といった方は多いのではないでしょうか。
今日は「部下から信頼されるたった一つの方法」についてお伝えしたいと思います。
一般的な方法:仕事ぶりで信頼を得る
新卒社員や中途入社など、どのような立場であっても現場で仕事に真面目に取り組み成果を出せば、その仕事ぶりから信頼を得ることができます。
一般的に、成果を出したそのチームでリーダーになれば、スムーズに進むことが多いと思います。
なぜなら部下からすると、自分の上司が「自分より仕事ができ」「自分の仕事を理解してくれる」ことが事前に分かるからです。
特に、優秀な社員ほど「上司には自分より優秀でいてほしい」という欲求が高いように思います。
しかしながらこの方法には2つのデメリットがあります。
1つ目は「時間がかかる」ことです。
何かの仕事を任されて、かつ、成果を出すまでには数ヶ月以上かかるでしょう。
最も確実ではありますが、早急に組織の立て直しを図る場合に最適な手段であるとは言えません。
2つ目は「既にリーダーとなっている場合に仕事ぶりを見せることが困難である」ことです。
リーダーの仕事というのは、そうでない社員から見えづらい内容が多いです。
他部署との調整、部下一人ひとりとのコミュニケーション、人事的な対応、業績や数値などの秘匿性の高い業務などを、自分の部下に積極的に伝える人は少ないからです。
その結果「自分の上司が何をしているのか良く分からない」「あの上司がいなくても私達のチームは回る」と考える人もいるでしょう。
突然のリーダー就任
私は3〜15人程度のグループで、何度もリーダー的な立場を任せてもらったことがあります。
その中でも最も困惑したのは、既に存在しているチームの再編成が起き、私が次のリーダーに任命された時でした。
その組織は会社視点で見ても上手く機能しているとは言えず、早急な立て直しを迫られていました。
時間もない上に、私にはそのチームが得意としている領域の経験がなく知識も浅いため「仕事ぶりで信頼を得る」ことは難しい状況です。
加えて、最も業務を任されていたチームの核となるAさんに、昔から苦手意識を持っていたのです。
Aさんからしても、今までの上司とは上手くいかず、しかも新しい上司は自分よりも仕事を分かってない奴です。
当時、私に対してどのような気持ちを抱いていたか今では知る由もありませんが、歓迎ムードでなかったことは確かです。
自分が採用した社員ならば、それは恋愛結婚のようだと表現できます。
自分は相手を面接した上で「来てほしい!」と思い、相手も会社や業務に好意を抱いたからこそ入社を決めてくれている。
しかしながら、挿げ替えでリーダーとなることは、言い換えれば両親が勝手に決めた政略結婚やお見合い結婚ではないでしょうか。
自分や相手の感情は無視され、共同生活を営むことを強要されるのです。
部下から信頼されるたった一つの方法
政略結婚で生涯を共に過ごさなければならないとしたらどうするか、私は考えました。
結論、私は新しいチームでリーダーになったその日から毎日「私はAさんのことが好き、私はAさんのことが好き」と心の中で唱えてからAさんに話しかけました。
不思議なことに「好き」という前提でAさんを見れば、キツイ物言いは相手のことを思ってトラブルを未然に回避するためだった、というように、全く違う側面が見えてきたのです。
そうやって苦手意識を克服するとともにAさんにはどんどん仕事をお願いし、私は他部署との調整や他の部下のマネジメントに徹するようにしました。
気付けばAさんから「あなたが上司で良かった」と言ってもらえるまでになりました。
部下から信頼される方法、それは「とっとと好きになって、とっとと信頼する」これに尽きると思います。
どうしたら相手に好きになってもらえるか考えたり、相手が自分の信頼に足る人なのかを見極めるよりも、先に自分が好きになって信頼したほうが早いです。
最後に
自分に好意を向けている人を拒否するのは、思いの外、大変なものです。
そして、人間は信頼されたらその思いに応えたいと思うものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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